マツラボ3D

とあるCGデザイナーの制作メモやニュース、映画、ゲームについてお届けします。 なにかの参考になれば嬉しいです。

【Blender】便利なラティス

3DCGで「ラティス」といえばモデリングで全体的に形を調整したいときに使用するような下記のイメージですが...

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Blenderではパーティクルにもラティスを適用することができて非常に便利です。

私の最近の作品では、遠景のカートゥーン調の煙の形を整えるのにラティスを使用しました。

■パーティクルにラティスを適用するf:id:Tumota:20180213001548p:plain

上の絵の場合はこんな感じで形を作りました。f:id:Tumota:20180213002515p:plain

もちろんパーティクルにはフォースフィールドで風や抵抗を加えてリアルな挙動を作ることができるのですが、手っ取り早く思い通りの形にしたい場合はラティスで強引に曲げるのも手です。

次は実際に作品で使ったことはないですが個人的に可能性を感じる使い方を...

■ラティスにラティスを適用する

「ラティスにラティス」という面白い言葉になってますが、こうすれば割と簡単にトルネード的な使い方ができるのでは!...というやり方です。

①上に上がるだけのパーティクルを作るf:id:Tumota:20180213002529p:plain

②パーティクルにラティスを適用、渦巻き型に調整するf:id:Tumota:20180213002532p:plain

③渦巻き型のラティスにラティスを適用、上部を外に広げるf:id:Tumota:20180213002538p:plain

といった感じです!

 

 

【メイキング】DESERT AFFAIR その② デザインの試行錯誤

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今回は拙作「DESERT AFFAIR」に登場するモンスターの、デザインについての試行錯誤を書こうと思います。 

砂漠で女の子を追いかけるモンスター、恐ろしいのですがどこか愛嬌があり憎めないヤツにしたいとコンセプト絵を作りました。

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デザインを基に頭部をざっくり作ってみるとなかなかいい感じ。f:id:Tumota:20180207000422p:plain

 

このままイケると思ったのですが、マテリアルを設定し最終イメージを確認すると...。f:id:Tumota:20180207001006p:plain 

頭部のデコボコを正面から見るとラインが微妙な感じになりました。(青枠が問題箇所)f:id:Tumota:20180207001415p:plain

 

メッシュの作り方やライン(Freestyle)の設定でいくらかは緩和できそうなんですが、静止画ならまだしも動画になるとラインが出たり消えたりして目障りになるのは容易に想像ができます。要するにセルルックに対してデザインのアプローチが間違っていることに気づきました。シルエットも大事ですが他も注意深く作らないといけませんね...。

ということでデザインを修正した最終モデルが下図になります。

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といった感じでモンスターデザイン、制作過程の試行錯誤をご紹介しました。やってみないとわからないことは多く、解決するためアレコレ考えるのも楽しかったりしますよね。

【メイキング】DESERT AFFAIR その① 板ポリで岩を作る

今回は拙作「DESERT AFFAIR」で使った板ポリを使った背景制作をご紹介したいと思います。操作はBlenderですが何のソフトでも使える方法です。

本編後半、エアバイクで砂漠を走るシーンの岩は全て板ポリに2D絵を貼ったもので表現しています。下図は最終結果とBlenderのビューポートです。f:id:Tumota:20180204111325p:plainf:id:Tumota:20180204111355p:plain

 ビューポート別アングルでもう1枚。赤線の板ポリが岩になります。f:id:Tumota:20180204112330p:plain

 

 ■板ポリ岩の作り方

まずは岩の2D素材をペイントソフトで描きます。ポイントはひとつの画像に数パターンをまとめて一緒に描くことです(理由は後述します)。アルファ付きのpngで素材を出力します。

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次に作った2D素材をBlenderに持ち込みます。

平面を作成しテクスチャを割り当てます。そしてUV編集画面にて任意の岩にUVを割り当てます。こうすることでたくさんマテリアルを作ることなく岩のバリエーションが増やせ、素材の修正も一括でできるので大変便利です。またリンクコンストレイント「Track To」で常にカメラを向くようにすれば他のシーンでも流用が楽になります。f:id:Tumota:20180204114232p:plain

 

以上の作り方で結果はこの通りとなります。f:id:Tumota:20180204115523p:plain

もちろん岩は3Dではないので「地面スレスレのカメラアングル」以外の使い方をすれば絵の破綻はさけられませんが(カメラを振り回すのもヤバそう...)、使い方次第では3D的な演出が気軽に行える良い方法だと思います。

【Blender】Freestyle使用メモ②:レンダーレイヤーを分ける

Blenderにも素晴らしいコンポジットノードがありますが、私の場合コンポジットはAfterEffectsで行うのでなるべく要素を分けてレンダリングしています。

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color、difuse、shadowなどはレンダーパスで分解できるのでレイヤーを分ける必要ありませんがFreestyleはパスがありません。

残念ながらレンダーパスにFreestyleはありません...f:id:Tumota:20180130232104p:plain

 

なので、Freestyleだけのレンダーレイヤーを追加します。レイヤー内表示するものは「Freestyle」のみ、またパスはすべて合わせた「combined」のみとします。

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これで無事、Freestyleのみを出力できるようになります。f:id:Tumota:20180130233228p:plain

【Blender】Freestyle使用メモ①:ラインにノイズを入れる

「Freestyle」はBlenderに標準搭載されているラインを描画できる機能です。

アニメ業界でよく使われている3dxMaxのプラグイン「Pencil+」みたいなものですね。 

こんな感じでカートゥーン調の表現にぴったり...f:id:Tumota:20180130061813p:plain

「Pencil+」並みに使い勝手がよくて(弱点もありますが...)、最近の作品制作で
非常にお世話になっています。細かい設定が色々できて楽しいのですが、今回はその中でも私がよく使う機能をご紹介したいと思います。

 

■ラインにノイズを入れる

私が最近作っているアニメーション作品ではキャラは3D・背景は2D(手描き風)のスタイルが多く、キャラはなるべく背景に馴染むようラインに手描き感、ランダム感が出るようにしています。

「Freestyle Line Style」欄の項目「Geometry」で「Perline Noise 2D」のモディファイヤを追加します。(下図参照)

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レンダリング後の違いは以下の通り、すこしラインにノイズが入っているのが確認できます。モディファイヤ内のパラメーターでは特に「Frequency」と「Amplitude」の値でノイズのスケールと深さを調整しています。

左図が「Perline Noise 2D」なし、右図が「Perline Noise 2D」ありf:id:Tumota:20180130214325p:plain

上記右図、若干ラインにゆらぎが入っているのが確認できるでしょうか。

アニメーションさせる際にフルコマではコマごとにラインが違う揺らぎ方をするのでチラチラして気になりますが3コマ打ちなど枚数を減らした場合すごくいい感じになると個人的には思っています。

こんな感じになります↓ 3コマ打ちどころかそれ以上になってますね...

 

他のパラメータの調整や、さらにモディファイヤを追加することで様々な表現が可能になります。

FreeStyleは2Dアニメ調の表現を求めて勉強されている方が多く、日本語の解説ページも多い印象です。興味のある方はそちらも参考にされてはいかがでしょうか!

【作品紹介】DESERT AFFAIR

タイトル「DESERT AFFAIR」、4分30秒のアニメーションです。

 

銀河の片隅で起こるドタバタコメディ。前回の「Horror」同様、キャラクターと一部オブジェクトは3D、背景は基本2Dで作りました。

宇宙船やらモンスターやら、デザイン段階から妄想を膨らませ非常に楽しく作業を行えました。またこの世界観・主人公で他の作品を作ってみたいです!

 

「horror」同様この作品もBlenderや動画制作のTIPSをこのブログで公開していけたらなと思っています!

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【作品紹介】horror

タイトル「horror」、2分30秒のアニメーションです。

 

短い尺ながら、観るごとに見方が変わるような構造的な作り方を目指しました。

「horror(ホラー)」というタイトルにしていますが、私自身は怖い話は大の苦手でして...文章はともかく映画は一人で見れないような人間なんですが、モノの作り手として怖い話の演出には興味があり、制作自体は非常に楽しみながら進めることができました。

 

色んな方々の助けや幸運が重なり、CGWORLD様に取り上げていただきメイキング記事を掲載していただきました。取材受けるのは人生初で緊張の連続...。掲載号はもちろん我が家の家宝になりました...(笑)

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こちら掲載していただいた「CGWORLD vol.214」とページを増やして転載していただいた特別編集版「アニメCGの現場2017」です。

 

掲載していただいた以外の部分で何かお役に立てそうなBlenderや動画制作のTIPSなど随時このブログに書いていこうと思っています!